降圧薬のはたらき

過度の降圧や低LDLは危険?

高血圧治療や脂質異常症の治療は、今現在の日本で最も有名で、かつ治療の必要性が高いとされているものです。これらの疾患に糖尿病を含めてメタボリックシンドロームと呼びますが、これらが相互に関連し合って血管障害を引き起こし、動脈硬化から心筋梗塞や脳梗塞、末梢動脈閉塞などの弊害をもたらす危険性が指摘され、薬物療法においても降圧等のために非常に多くの薬が用いられています。現在の日本では、降圧した方がいい(血圧が低い方がいい)、コレステロール(中でも、悪玉コレステロールと言われるLDLコレステロール)は低い方がいい、という考えが主流ですが、ここに真っ向から反対を唱える医師や研究者もいます。これらの事象はなぜ起こるのかと考えてみると、因果関係の逆転が関係していると言われています。例えばガン患者や肝機能障害がある人は、健常者に比べて当然平均寿命は短いことが多いですが、コレステロールの比率を見るとガン患者の方が健常者よりも低いことが多くあります。これは、元々肝臓で作られているコレステロールの量が少ないことに由来するものですが、「ガン患者はLDLコレステロール値が低い」という事実だけを取ってみると「LDLコレステロール値が低いとガンになりやすく危険である」という結論に至ってしまうことも、想像の範疇ではあります。また同じような形で、降圧薬には、血圧が下がることが原因であるめまい、ふらつきなどの副作用の報告が多くありますが、これを以て「血圧を下げる薬はめまいやふらつきを起こすことがあるので危険である」という理論がまことしやかに提唱されたりします。これらを正確に判断するには因果関係に着目し他の要因を除く必要がありますが、なかなかそこまで至らず、イメージだけが先行してしまうという例が少なからず存在しています。